• TOP > 2009年6月30日 左利きとボールペン

左利きとボールペン

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書き上げた原稿が1冊の文庫本になるまでには何度も修正が入りますが、最終チェックとして行う著者校という作業があります。
まず、製本された状態に限りなく近い印刷見本(イラストは除く)に、校正の方から誤字脱字や表現のおかしなところ、表記の揺れ、ルビの確認などが赤ペンや黒鉛筆で指摘されてきます。
それに対して正しい表現を、青色のペンで記入していくという作業が著者校です。

このとき青色のボールペンを使用するわけですが、実は僕は左利きなのです。
そして左利きの人ならわかると思うのですが、左利きとボールペンの相性は最悪なのです。
とにかく掠れる。字が出ない。紙に穴が開く。

日本語で使用される文字は、ひらがなにしろ漢字にしろ、基本的に左から右に、上から下に線を引くように出来ています。
実際に書いてみるとわかると思いますが、右利きの場合は、ペンを引っ張りながら書く「引き書き」です。
逆に左利きの場合は、ペンを押しながら書く「押し書き」となります。

ボールペンというのは、インクの入ったタンクの先に金属のボールが入っており、タンクとボールの隙間にインクが流れ出て、線が書けるような構造になっています。
このとき、「引き書き」の場合は特に問題は起きません。
しかし、「押し書き」の場合、ボールが筆圧によってタンクの方に押し込まれてしまい、インクが流れるはずの隙間が潰れてしまいます。
更にボールがタンクと用紙に挟まれてしまうために回転しづらくなります(ボールがロックされたまま用紙の上を滑ってしまう)。
また、押しながら書く場合は、ボールの転がる向きが、インクの流れ出る向きとは逆回転となるために、非常に掠れやすくなります。

それから、ボールペンのインクには、水性、油性、ゲルインキの3種類があります。
水性ペンは速乾性に難があり、滲むという欠点もあるので、何百枚もの用紙に記入しなければならない著者校には向いてません。
ゲルインキは左利きとの相性は最悪で、原因はわかりませんがとにかく掠れます。
結局、油性ボールペンを使うしかないわけですが、油性ボールペンはインクの粘度が高いためにある程度の筆圧が必要です。
しかし高い筆圧をかけると、上記の理由で左利きの人は掠れてしまうのです。

特に細字タイプのボールペンは鬼門で、ペン先0.5mmタイプでまともに書けるものはほとんどありませんでした。
スタンダードな0.7mmでも掠れるものが多い。
なので普段は1.0mmの太字タイプを使っていたわけですが、著者校のように細かい字を書かなければならない作業には不向きなのです。

まあ左利きの宿命のようなものだと諦めていたのですが、つい先日、このような記事を見つけました。

こちら文芸&学芸書籍編集部
油性ボールペン嫌いがゼロから作った三菱鉛筆「JETSTREAM」 ビジネス-最新ニュース:IT-PLUS
“油性ボールペン嫌い”が油性ボールペンをヒットさせた(1) - ビジネス・フォアフロント - ビジネスABC

ジェットストリーム スタンダード | JETSTREAM 単色 | 油性ボールペン | ボールペン | 商品情報 | 三菱鉛筆株式会社

それでダメ元で試してみたところ、その書き味に驚かされました。
高い筆圧をかけなくても書けるために、ほとんど掠れないのです。
0.5mmの細字タイプでもあまり掠れない。
スラスラとペン先が滑るので、かえって気持ち悪いくらい。


パワータンク スタンダード | POWER TANK | 油性ボールペン | ボールペン | 商品情報 | 三菱鉛筆株式会社

さらに加圧式のボールペンも開発されているというので、それも試してみたところ、こちらも全く掠れませんでした。
圧力がかかっているために、ボールとタンクの隙間が潰れにくいのかも。
天井に向けても、無重力でも書ける、NASA垂涎のボールペン(笑)。

筆圧の低い人はジェットストリーム、筆圧の高い人は加圧式ボールペンを使うといい感じですね。

皆さんも一度試してみてはいかがでしょう?
右利きの人でも、ジェットストリームのあの書き味はクセになるかもしれません。

「一方、ロシアは鉛筆を使った」は禁止。

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